石油系合成界面活性剤と浄化槽の関係

石油系の合成界面活性剤は微生物が分解しにくいので、河川や海水の汚れにつながってしまう。

ということを記事で目にすることがありますが、はたして浄化槽に与える影響はどうでしょうか?

微生物 VS 合成界面活性剤

石油系の合成界面活性剤は、浄化槽内の微生物にとってはなかなか手ごわい相手でしょう。なぜなら、浄化槽内の微生物が想定しているのは、昔から生活排水として出ている汚水だからです。本来、生活排水として考えられていたのは、トイレ、洗濯、台所、お風呂の水などであり、そこに大量の石油由来の汚水が生じることは想定していませんでした。

 

人間の排出物は意外と分解しやすい

トイレからでる汚水は、人間にとっては強烈な異臭です。においもきついです。とても汚いものに感じますが、微生物にとっては意外と簡単に分解できるものです。動物のフンとかが道路に落ちていても、いつのまにか微生物が分解してなくなっていることってありませんか?それぐらい簡単なんです。

 

昔の石けんは石油を使っていなかった

昔の洗剤は石けんでした。昔の石けんは動物の油などを使って作られています。いまでも、その方法で作っている石けんもあります。そういった石けんであれば、微生物の得意とする範疇です。これも問題なく分解できるでしょう。

 

石油系の合成界面活性剤は大量生産に向いていた

高度経済成長期の大量生産、大量消費、消費こそが美徳!という時代には、安価で大量に商品をつくらねばなりません。そこで出てきたのが、石油系の合成界面活性剤。確かにキュッキュッときれいに汚れは落ちますが、浄化槽の微生物にとっては天敵でした。分解できずにそのまま河川へと流れてしまい、水環境を汚す結果になっています。

 

環境先進国では石油系の合成界面活性剤は使用禁止

海外では石油系の合成界面活性剤が禁止されているところもあるみたいで、どうなんでしょう?大企業との癒着で石油系の合成界面活性剤を禁止できない。とかいう噂もたまに目にしますね。実際問題としては、大きな被害が出てからでないと政府は動けない。というとこだと思うのですが、そうなってからでは遅いんですよね。ジワジワ蝕まれる被害は気づきにくいんですよね。心配です。

 

水俣病の悪夢にはならないように

高度経済成長期は環境のことは二の次、とにかくお金を稼げ、事業を大きくすることが正義でした。人間に毒になるような汚水を出しているにもかかわらず、それを隠したり、根拠もなく健康被害はない。と言い切ったり、結果的に甚大な被害が出ることになりました。そういった悪夢は二度とおこらないで頂きたいです。

 

それでも菌は戦っている

納豆菌からできるアミノ酸が、界面活性剤の使用料を劇的に減らすことができる。という記事がありました。つまり、納豆菌が界面活性剤と手を組んで汚れを落とす役割を手伝ってくれる。といったニュアンスでしょうか?こういった技術開発は日本の得意とするところですね、早く実用化できると良いですね。

でも、実は環境を守りたいからとか、健康に問題だから、とかではなくて、石油の原価があがってきてしまったが故にこういう技術が注目され始めたみたいですね。いろいろと考えさせられます…。

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