都市は水没するのか!?

都市は上下水道が整備されていますので、人々は生活しやすく、衛生面でも伝染病などの危険性が低くなっています。

整備された上下水道は良いですが、地下から水をくみ上げ続けたとしたら、最後はどうなると思いますか?

水っていつまでも飲めるのか?

土地によりますが、水道水として使われているのは、浄水施設によってきれいにされた水の場合もありますし、地下から掘った井戸水である場合もあります。日本は元来、水が豊富な土地柄なので、いまでも井戸水を使っている方も、地方にはたくさんいらっしゃいます。もちろん、江戸時代みたいに、桶で水を汲むわけではないですよ。自動ポンプでくみ上げ式になっています。いつの間にか、そういった井戸水にはプレミアがつき、天然の○○水。深層○○メートルの水。といった名称で商品として開発され、販売されることも当たり前になりました。

でも井戸水とか、地下水とかって、いつまでもあるものなのでしょうか?

 

飲料水はどこから来るのか?

地下水を支えているのは森林です。森林に降った雨が土に染み込み、時間をかけてゆっくりと地下水となっていきます。長時間のろ過により、水はきれいになり、自然由来の天然栄養を蓄積し、人間にとっておいしく安全な地下水となります。そこに価値が生まれた訳です。ところが、その森林が伐採されたらどうでしょうか?

 

森林は飲料水も育てている!

本来、山の表面は森の木々によって守られ、雨は徐々に土にしみこむことができました。また木々が育む森の土は保水性が高く、大量の水を土の中に保持することができます。では、木々が生い茂っていない裸の土はどうでしょうか?土だけの斜面に水が流れる様子を考えてみて下さい。水がしみこみ切れず、ほとんどの水はそのまま、下へ下へと流れてしまいます。つまり、森林がなければ、地下水が生まれる環境にはなりえないのです。

 

世界に目を向けてみると深刻な問題も・・・

インドネシアのジャカルタ。広大な山々からの豊富な地下水に支えられ、世界屈指の大都市となりました。ですが、実はいまでも上水道の大半は地下水が使用されています。ところが森林伐採が進み、地下水が減ってきました。

そうなるとどうするでしょう?人々はさらに地下水を求め、もっと深く井戸を掘ります。また地下水がなくなると、さらに深い井戸を掘ります。この悪循環が深刻な地盤沈下を生みました。

毎年10cmも地盤は沈下し、最も激しい地域では、今後10年で5mも沈下するというのです。すでに、市の半分が海抜0m以下となってしまいました。しかも、地下水は枯渇し、大都市にもかかわらず、人々は水を求めて遠くまで水汲みにいく。というような事態に及んでいます。経済発展を優先させるがために、森林の伐採を推進した結果、大都市であるジャカルタが水没の危機に瀕しています。自然のチカラ、人間が思うようにコントロールできると考えるのは、あまりにも傲慢ではないでしょうか。

 

水没の危機に解決策はあるのか?

インドネシア政府も、荒れ果てた森林の山間部で植林活動を始めています。また、市内の排水システムも向上し、水を再利用する。という技術開発も開始しています。日本には当たり前にあるノウハウです。製品を輸出するのもいいですが、本当に必要とされている技術や、環境に関する知識。そういったものを率先して輸出するような環境立国に日本はなってほしい。と私は思います。

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