水不足の解決を別の角度から考えてみる

日本は海に囲まれている島国であり、雨も多く、水不足が深刻になることは現時点ではなかなか想像できません。

しかし、地球環境が変化している現在、いつまでも同じように水が豊富にあるとは限らないのかもしれません・・・。

世界では水不足が深刻化している

世界に目を向けると、本格的な水不足に困っている地域がたくさんあります。例えば、カザフスタンとウズベキスタンにまたがる中央アジアの塩湖、アラル海。

アラル海といっても実際は湖です。数十年前の1960年代には世界第4位の大きさ。琵琶湖の100倍の面積を誇った湖でしたが、綿花栽培などの灌漑用水に大量の水を使用したため急激に水位が減り続け、消滅の危機を迎えています。

 

水不足の原因は人間だけのせいではない・・・

実は湖や貯水池の水が減少する原因の大部分は蒸発によるものです。蒸発と言われると100度近い温度で沸騰しているようなイメージを持ちますが、常温でも水は気化します。

部屋に置きっぱなしのコップの水がいつの間にか減っていたり、プールの水がいつの間にか減っていたり、といったことからも水が常温で気化していることがわかります。

 

びっくりするような水不足の解決方法が!

湖や貯水池の表面に蓋をすることで、水の気化を防ぎ、水を長持ちさせようという試みがありました。それも実は半世紀も前に。しかしながら、その時の技術では実用化が困難であり断念されていました。

ところが2014年になり、うすい膜を貼る技術の進化にともない、テキサス州で野外実験が再開されました。舞台はアメリカのテキサス州アローヘッド湖(21平方km)。

湖の蓋になるのは比較的安価で無害な生分解性物質の膜で分子1個分(約2nm)の厚さ。ドローンで上空から湖にコーティング剤を散布するようなイメージです。しっかりと生分解性物質を意識しているところも実用的です。

 

壮大な実験の結果は?

実験の結果、蒸発により失われた水の量は約15%も抑えられたようですが、それが湖のコーティングによるものかどうかは、まだまだ調査を進めなくてはならないようです。

実験を行ったマサチューセッツ工科大学のMoshe Alamoro氏によれば、コーティングの技術力や監視を高めることで、水の蒸発を70%は防げるはずだと見積もっています。

そうなれば、アラル海のような貴重な水源が奪われることも防げるかもしれません。

 

実現に向けたハードルは高いけれども・・・

 

この壮大な実験。正確な効果を測定するのは極めて難しそうです。なぜなら、雨が降った瞬間に蒸発量の測定が困難になってしまいます。そもそも雨が降るのであれば、湖のコーティングすら必要でなくなるという…。

なんとも、悲しいような、うれしいような…。

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